皆さん、薬局までご自身の薬を貰いに行ったことは一度はあるのではないでしょうか?
薬が出来るのを待っている間、薬剤師はどんなことをしているんだろう?
薬を揃えて、袋に詰めてるだけなんでしょう?
薬局で働く薬剤師に憧れてるけど、どうしたらなれるんだろう?
どんな人が向いているお仕事なんだろう?
こういった疑問やイメージをお持ちではないですか?薬剤師のお仕事は単純そうに見えるかもしれませんが、薬をお渡しする前の最後の砦と言えます。そう聞くと、かっこよくないですか?
この記事では以下の疑問を解決します。
- 薬剤師のお仕事内容
- 薬剤師になるまでの道のり
- 薬剤師に必要な素質
- 薬局薬剤師 vs 病院薬剤師どちらに進むべきか
- 「薬剤師あるある」とは
- 薬剤師になって良かったこと
薬剤師歴10年以上の現役薬剤師が質問に答えるかたちで、薬剤師のお仕事に迫ってみたいと思います。薬局薬剤師、病院薬剤師ともに経験があります。
この記事を読むことで、薬剤師について理解できるようになります。そうすることで、身近な存在として感じてもらえたらうれしいです。また、薬学部生や薬学部を目指している方は、進路を目指すうえで、ぜひ参考にしてください。
薬剤師のお仕事って、どんなことしてるの?
薬剤師の基本業務、それは処方せんに基づいて調剤することです。
処方せん受付からアフターフォローまでの流れ
チェックポイントは大まかに5つに分けることができます。
処方せんのチェックポイント |
---|
①処方せんの記載事項(患者さんの名前・生年月日・性別、病院名・連絡先、医師の名前、処方せん交付年月日、処方内容等)に漏れがないか? |
②薬の名前、量、使用回数、使用する時間帯、使用日数に間違いがないか? |
③注射薬の場合、どのくらいの速さで投与するのか?どのくらいの時間をかけて投与するのか?どの経路(皮下、静脈内、筋肉内)から投与するか?薬を溶かす溶媒は適切か? |
④複数の薬が処方されている場合、組み合わせに問題ないか?重複している薬はないか? |
⑤患者さんの訴える症状や得た情報(副作用の履歴、検査結果、病気の履歴など)を踏まえて、薬を使用して問題ないか? |
処方せんに疑問点があれば、医師に確認をとります。
これを「疑義照会」と言います。
処方せんの指示どうりに薬を取り揃えます。
処方せんや調剤された薬に間違いがないかダブルチェックします。
基本的には、調剤した薬剤師とは異なる薬剤師が鑑査をします。
ワンオペの場合、自分自身で鑑査を行います。
安全かつ効果的に薬を使ってもらうことを目的に患者さんに薬の情報提供を行います。これを「服薬指導」と言います。
服薬指導の記録を行い、患者さんの情報(氏名、年齢、性別、副作用の履歴、病気の履歴、検査の履歴など)や処方せんの履歴を保存管理します。
次回処方せんを受付した際に、蓄積した情報を調剤や服薬指導に活かします。
薬剤師が必要と判断した患者さんには、薬が効果的であったか、薬による副作用があったか、などを電話等の手段で患者さんに連絡することがあります。
さらに踏み込んだフォローが必要と判断した場合には、患者さんの了承が得られたうえで、病院へ情報提供をしたり、病院受診をお勧めすることがあります。
冒頭でも申し上げました、「薬をお渡しする前の最後の砦」と言われる所以がわかりましたでしょうか?患者さんに安心・安全の医療をお届けするため、薬剤師は日々奮闘しているのです。
どうして薬を渡す前に色々聞くの?
訴えてる症状や聞き取ったことを参考に、処方せんの内容をチェックし、薬を渡して良いか判断しています。
薬剤師は、処方せんから読み取れる情報、お薬手帳や過去の記録をもとに調剤を行います。その情報だけでは不十分な場合、患者さんに質問をすることがあります。また、症状がどのように変化していったのか、薬剤師は確認する義務があるのです。
実際にあった症例をみてみましょう
毎月28日分処方されていて、毎日飲まなければならないA錠が1日分処方されている
毎日内服するお薬があれば、月に1回内服するお薬もあり、何日分必要かによって当然日数が変わります。
A錠が1日分しか処方されていませんが、どうしてですか?
家にA錠の残りがたくさんあります。そのため、日数を調整してもらったので、1日分で間違いありません。
このように患者さんに聞き取りを行うことで、わかってくることがあるのです。
薬剤師になるまでの道のりを教えてください。
まずは、6年制薬学部の大学へ進学し、卒業しましょう。
高校では、理系コースに進みましょう。理科のなかでは、特に化学を履修すると、大学の勉強についていきやすいです。
薬剤師になるまでの道のり
大学によって受験科目や試験対策が異なるので、早めの受験校決断を。
私立大学のほとんどは、英語・数学・化学で受験することができるため、私大希望であれば、これらの教科を重点的に勉強する。
基礎科目(物理・化学・生物)、医療科目(調剤学、製剤学、薬剤学、薬物治療学)、医療制度、医療倫理などを学びます。
CBTは、コンピュータを使った学力試験です。
OSCEは、薬剤師の基礎的な実務能力をチェックする実技試験です。
臨床実習を行うためには両方の試験に合格しなければなりません。
実は仮面浪人していました
振り返ると、薬学部に入るための受験勉強が一番苦労しました。現役時代は通信教育と高校の授業で大学受験の対策をしましたが、受験した薬学部は全て不合格。そのため、薬学部ではない学部に通いながら、独学で受験勉強を続けました。
仮面浪人時代は、大学の授業と並行して受験勉強を行ったため、時間が限られています。
そこで、私が行った作戦として、
その① 志望校を3つに絞る
志望校を3つに絞ることで、試験の対策をより効率的に進めることができました。
その② 過去問を徹底的に研究
過去問を徹底的に研究することで、試験の雰囲気に慣れることができ、頻出分野を重点的に勉強しました。また、過去問の出題傾向からどのような対策をしたらよいか考えていきました。
英語ではかなり読み応えのある長文が出ていたため、速読の練習をしました!
努力の甲斐あって、見事受験したすべての薬学部に合格することができました!
薬剤師に必要な素質を教えてください。
人と関わること、コミュニケーションを図るのが好きであること。
薬剤師は、患者さん、患者さんのご家族、医師、看護師、事務など、さまざまな人々と関わるお仕事です。そのため、人と関わることが好きな方、コミュニケーションを図ることが好きな方は、薬剤師に向いていると思います!
薬学生さんのよくある悩みに答えてみました
- 薬の名前がなかなか覚えられない!薬剤師に向いてないのでは?
-
仕事をし始めれば、自然と薬の名前を覚えるので心配いりません!どうしても覚えたいのであれば、ゴロを活用し、頻繁に出てくる薬や採用している薬を中心に覚えてみて下さい。
- 不器用なので、調剤が苦手です。薬剤師に向いてないのでは?
-
ぶきっちょさんでも問題ありません!調剤は経験を積めば、手際よく上手になっていきます。料理のように頭の中で手順を考えながら、丁寧を心がけて、調剤を行うようにしてみましょう♪
- 調剤のスピードが遅いです!患者さんを待たせてしまい、自信がありません。
-
スピードより、薬を間違いなく取り揃えることが大事です。調剤に慣れれば、スピードは早くなっていきます。今は気にしなくて大丈夫。
薬局薬剤師 vs 病院薬剤師どちらに進むべきか
どちらにも良さや大変だったところがあり、どちらがいいとはハッキリ言えません。
この一言につきます。薬学生の皆さんは、臨床実習をするなかで、どちらの勤務が自分に合っているか、実際に肌で感じてみて下さいね。
薬局と病院勤務それぞれの良さや大変だったところとは
薬局勤務の良いところ
- 様々な患者層と多くの機会で接するため、コミュニケーション能力が磨かれる。
- 様々な診療科の処方を受け付けるため、幅広い病気や薬の知識を得ることができる。
薬局勤務の大変だったところ
- 外来処方せんを調剤する場合、患者さんをお待たせしないように、時間を気にしていた。
- カルテを確認できない為、処方せん、お薬手帳、過去の履歴、患者さんからの聞き取りをもとに、病気や医師の処方意図を推理しなければならない。
病院勤務の良いところ
- あらかじめ、カルテに記載されている患者さんの必要な情報を把握した上で、調剤や服薬指導が出来る。
- 沢山のスタッフと知り合いになれるので、交友関係が広がる。
- 医師と連絡がとりやすいため、処方提案や処方のディスカッションがしやすい。
病院勤務の大変だったところ
- 体力的に当直業務がきつかった。
- シフト制の場合、土日祝が休みとは限らない。
- 沢山のスタッフと関わるため、名前と顔を覚えるのが大変だった。
病院の当直業務とは
当直業務のある日
出勤
薬剤部内の朝ミーティング
退院する患者さんに退院後使用して頂く薬をお渡しする
調剤業務
入院した患者さんが持参された薬をチェックし医師に報告
休憩
薬剤部内の昼ミーティング
病棟業務(カルテチェック、服薬指導、記録、医療スタッフからの問い合わせ対応や情報提供など)
休憩
自分1人で当直業務(救急外来と入院患者さんの調剤対応)
翌0:00~6:00の間は安静時間(睡眠とってOK)ですが、電話連絡があればその都度対応します
日勤の薬剤師へ申し送り後、帰宅
あくまで私が勤務した病院でのお話ですが、ご覧のとうり、翌日まで帰宅できません。
「病院勤務希望だけど、当直はしたくない!」という方は、当直業務のない病院への就職をオススメします。
「薬剤師あるある」あれば教えて!
「薬剤師あるある」を4つのタイプにまとめました!
「薬わかる」あるある
錠剤に書いてある刻印(英数字や記号)を見れば何の薬かわかる |
ドラマで薬が出てくると見た目から何の薬か推測する |
粉薬の見た目と味見で何の薬か言い当てられる |
「患者さん」あるある
白衣来てるだけで患者さんから医師に間違えられる |
処方せんの内容を見て患者さんの顔を思い出す |
「身内」あるある
家族や友人から薬の相談をうける |
自分の受診時、処方希望の薬を医師に詳しく言いがち |
薬の説明書を見なくても効果や使い方を知っているので、自分の薬の説明書は不要 |
「業務」あるある
いつ薬の質問がきても良いようにお仕事中は常に医薬品集(医薬品の情報がまとまっている本)を携帯しがち |
粉薬やシロップの計量をきっちり測る癖から、料理の計量もきっちり測りがち |
お仕事中は白衣の胸ポケットにペンを入れているので、プライベートでペンを使うときポケットないのにポケットからペンを出すふりしてしまう |
薬剤師になって良かったことは?
個人的には4つ挙げられます。
- 医療の知識があるので、家族や自分の健康を管理できる
- 薬剤師免許を保有しているため、全国どこでも仕事ができる
- 安定した給料を貰える
- 人のために役に立つことで、達成感やうれしさを味わえる
医療を学びたい!安定した就職、安定したお給料を求めたい!人に役に立つことがしたい!こういった考えを持っていたら、薬剤師を目指してみませんか?
最後に
今回は、薬剤師のおしごとQ&A 7選をお届けしました。裏エピソード含め、薬剤師についてせまってみましたが、ご理解頂けましたでしょうか?
薬を貰いに行った際には、薬剤師にぜひ頼ってください。たくさん質問してみましょう!薬剤師はお薬のプロフェッショナルですから。
ご質問があれば、お問い合わせフォームよりご連絡頂ければと思います。
質問が溜まったら、記事にして特集したいですね。
コメント