子どもに広がるRSウイルス感染症とは?予防・診断・治療法を総まとめ

RSウイルス感染症は、ほとんどの子どもが2歳までに感染する病気です。集団生活の場で流行し、家庭内に持ち込まれて家族が感染するケースも見られます。

軽い風邪症状で済む人が多いですが、生後6か月未満の子どもは重症化しやすく、細気管支炎や肺炎を発症する可能性があります。だからこそ、正しい知識を持ち、適切に対処できるようにしましょう。

本記事では、RSウイルス感染症の症状や感染経路、診断、治療、予防策について解説します。

はる

この記事は次のような人におすすめ!
・RSウイルス感染症について知りたい人
・子どもがRSウイルス感染症にかからないか心配な人

本記事は執筆時点の情報をもとに作成しています。最新の情報については、必ずご自身でご確認ください。

目次

RSウイルス感染症の基礎知識

RSウイルス感染症とは何か、感染の広まり方について見ていきましょう。

RSウイルス感染症の重症化に要注意

RSウイルス感染症は、風邪症候群の一種です。RSウイルスが原因で、鼻・喉・気管・気管支・肺などの呼吸器に感染します。

特に0〜1歳の感染が多く、ほとんどの子どもが2歳までに感染します。保育園や幼稚園などの集団生活の場で流行し、家庭内に持ち込まれて家族が感染するケースも少なくありません。

2021年以降、春から感染が増え始め、夏にピークを迎える傾向です。しかし、流行の時期は年によって異なるため、年間を通して感染に注意しましょう。

多くの場合、RSウイルス感染症は軽症で済む病気です。しかし、重症化リスクのある人が感染すると、症状が悪化し、命に関わる可能性もあります。以下のような子どもは重症化する可能性があるため、体調の変化を見逃さないようにしましょう。

重症化リスクのある子どもの特徴
  • 生後6か月未満
  • 早産・低出生体重児
  • 基礎疾患(先天性心疾患、免疫不全症、慢性肺疾患、ダウン症)がある

RSウイルス感染症の症状はさまざま

多くの場合、軽い風邪症状で自然に治りますが、細気管支炎や肺炎を発症し、重症化するケースも見られます。

軽症:軽い風邪症状

RSウイルスが体内に入ってから発症するまでの潜伏期間は、2〜8日間程度です。発熱や鼻水、咳などの一般的な風邪症状が出現し、通常は数日から1週間程度で改善します。

重症:気管支炎や肺炎の発症

重症化すると、咳が悪化し、「ぜーぜー」という呼吸音や息苦しさが現れます。また、食事や水分の摂取が難しくなり、赤ちゃんは母乳やミルクの飲みが悪くなることも。

上記の症状が見られたら、細気管支炎や肺炎を発症している可能性があります。さらなる症状の悪化を防ぐため、異変を感じたら速やかに医療機関を受診しましょう。

感染経路は飛沫感染と接触感染

RSウイルスは「接触感染」や「飛沫感染」と呼ばれる感染経路によって広がります。

接触感染

感染者の体液(唾液や鼻水など)やウイルスが付着した物に触れると、手にウイルスがつきます。その手で目・口・鼻を触り、ウイルスが体内に入ると、感染してしまいます。

飛沫感染

飛沫とは、咳やくしゃみ、会話などで放出される、ウイルスを含む小さな液体の粒です。飛沫を吸い込んだり、飛沫が目・口・鼻に付着すると、感染します。

RSウイルス感染症の予防・診断・治療法

RSウイルスの感染リスクを減らすためには、日常的な感染予防策が欠かせません。感染した場合は、医療機関で適切な診断・治療を受け、自宅ケアにも気を配りましょう。

感染予防のポイント

インフルエンザや他の感染症にも役立つ、感染予防策を取り入れて、感染リスクを減らしましょう。

手洗い

外出から帰宅した後や食事の前後など、こまめに石けんで手を洗います。

消毒

子どもがよく触るドアノブや手すり、おもちゃなどは、アルコールでこまめに消毒しましょう。

接触回避

人混みを避けるようにしましょう。重症化リスクのある人は、RSウイルス感染の疑いがある人との接触を控えるようにします。

マスク着用

飛沫の拡散を防ぐため、風邪症状のある人はマスクを着用しましょう。ただし、マスクを着用できない年齢の子どもは除きます。

診断の流れと検査方法

医師は、症状や流行状況を踏まえて、RSウイルス感染症を診断します。医師が必要と判断した場合、簡易検査キットを用いた検査を行うこともあります。

簡易検査キットは、鼻の奥から検体を採取し、ウイルスの有無を調べる検査方法です。10〜15分ほどで、結果がわかります。

ただし、すべての人が保険適用で検査を受けられるわけではありません。保険適用となるのは、1歳未満や基礎疾患などのある、重症化リスクの高い子どもに限られます。

対症療法が治療の中心

RSウイルスに直接作用する特効薬は存在せず、症状を緩和する治療法(対症療法)が中心です。

解熱剤を使用する

発熱した際、解熱剤を使うことがあります。ただし、発熱は体がウイルスと戦っているサインであり、必ずしも悪いものではありません。高熱が続く、発熱でぐったりしているなどの場合、解熱剤の使用を検討しましょう。

栄養・水分を摂取する

食事や水分が摂れない場合、必要に応じて点滴で水分や栄養を補給します。

呼吸を楽にする

呼吸困難が強い場合、酸素投与や点滴などの治療を行います。

回復を助ける自宅ケア

症状の軽減や回復をサポートするためには、自宅でのケアも重要です。子どもの様子をよく観察しながら、症状に合わせたケアを心がけましょう。

水分補給

脱水を防ぐため、こまめに水分を摂取しましょう。

室内環境の調整

適切な湿度や温度を保ち、快適に過ごせる室内環境を整えます。

呼吸のサポート

咳き込んで眠れないときは、上半身を少し起こして寝かせましょう。布団の下にタオルを敷いて緩やかな傾斜をつけると、呼吸が楽になります。

鼻水の吸引

鼻がかめない子どもの場合、鼻吸い器を使って、鼻水を取り除きましょう。

体温の調整

発熱時には、氷枕などを使い、首の両側や脇の下、太ももの付け根の部分を冷やします。また、寒いときは厚着をする、暑いときは薄着にするなど、衣服の調整をしましょう。

まとめ

RSウイルス感染症は、重症化リスクのある人(生後6か月未満、基礎疾患がある子どもなど)にとって注意が必要な感染症です。多くの場合は軽い風邪症状で済みますが、細気管支炎や肺炎などに進行し、重症化するケースも見られます。RSウイルスに直接作用する治療薬はなく、治療法は、症状を緩和する対症療法が中心です。

予防には、手洗いや消毒、接触回避、マスク着用といった基本的な感染対策が有効です。感染対策を日常的に取り入れ、RSウイルスから家族を守りましょう。

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