「病院薬剤師の当直って、何をするんだろう?」
あなたも同じような疑問を持っていませんか?日勤の業務内容はイメージしやすいものの、当直となると、経験がない方には想像しづらいかもしれません。
本記事では、病院薬剤師の当直業務や当直当日のタイムスケジュール、当直手当の金額について解説します。

この記事は次のような人におすすめ!
病院薬剤師の当直について知りたい人
当直の定義


当直とは、当番を決めて交代制で勤務することを指し「日直」と「宿直」の2種類があります。日直は日中の勤務、宿直は夜間の勤務です。両者をまとめて、宿日直といいます。
宿直は、ほとんど労働を伴わない勤務となります。宿直のルールについて見ていきましょう。
労働時間 | 法定労働時間外(週40時間・1日8時間以外の勤務) |
届け出 | 労働基準監督署長への届け出が必要 |
業務内容 | 職場内で待機しながら、巡視・電話対応などの軽微作業を行う |
手当 | 宿日直手当 |
設備 | 睡眠設備を整える |
休憩 | なし |
勤務の上限回数 | 週1回まで |
なお、わたしが勤務していた病院では、宿直を当直と呼んでいます。本記事では、宿直を当直という表現で統一して記載します。
勤務先の概要と当直手当


かつて、千葉県内のケアミックス病院に薬剤師として勤務していました。ケアミックス病院とは、急性期医療と慢性期医療を提供する病院を指します。
急性期医療 | 緊急性があり、重い病気やけがを抱えた方に対して、治療や手術を行う。 |
慢性期医療 | 急性期治療を終えた方に対して、自宅復帰に向けたリハビリを提供する。 |
勤務先の病院は、24時間体制で救急医療を提供しています。病院の詳しい概要は、以下のとおりです。
応需科目 | 総合内科、外科、産婦人科、神経内科、循環器内科、腎臓内科、透析科、糖尿病内科、消化器内科、整形外科、小児科、泌尿器科、感染症内科、発熱外来、救急外来 |
処方せん枚数 | 入院処方せん(注射処方箋を除く)約100枚/1日 入院注射処方せん 約350~400件/1日 |
薬剤師数 | 21名(当直勤務ができる薬剤師は10名) |
業務内容 | 調剤・製剤・抗がん剤ミキシング・TDM・病棟・DIなどの薬剤師業務 |
わたしは月に3~4回・週1回のペースで、当直勤務をこなしていました。1回あたりの当直手当は、曜日によって以下のように設定されています。
曜日 | 金額 |
平日 | 15,000円 |
金曜日 | 17,000円 |
土日・祝日 | 16,000円 |
病院薬剤師の当直業務!リアルな体験談
当直当日は、朝8:45から日勤業務をこなします。日勤終了後の17:45から、ワンオペの当直業務を開始し、翌朝8:45まで働きます。
当直当日のタイムスケジュールは、以下のとおりです。
当直薬剤師からの申し送りを受け、薬剤部内の連絡事項を周知します。
退院患者さんに退院処方の薬を渡したり、病棟常備薬の内容・数量をチェックしたりする時間です。
入院患者さんの調剤をします。
入院患者さんの初回面談や持参された薬をチェックします。
昼食の時間です。午後の業務開始に向けて、仮眠を取る人も。
入院患者さんの情報や薬剤情報などを薬剤部内で共有する時間です。
処方内容の変更や新しく開始する薬があれば、入院患者さんに説明します。また、電子カルテの情報や患者さんとの面談で、患者さんの状態を把握します。
薬剤部内にはベッドが設置された当直室があり、当直室で仮眠を取ることができます。
当直の合間に食事を摂ることが可能です。
翌0:00~6:00の間は安静時間(睡眠可)ですが、電話連絡があれば対応します。
日勤薬剤師に申し送り事項を伝えたら、勤務終了です。
当直業務は、基本的に職場内で待機し、軽微な作業(電話対応・医薬品管理・臨時処方の調剤など)が中心です。
しかし、わたしが勤務していた病院では、当直の薬剤師が以下の業務も一人で対応します。
- 日勤帯でさばききれなかった分の調剤
- 調剤した薬を病棟・外来までお届け
- 臨時で入院した患者さんの持参薬鑑別
業務内容や行動範囲が広く、忙しい日が多い印象です。こうした実態はすべての病院に当てはまるわけではありませんが、参考までに一例として紹介します。
まとめ


わたしが勤務した病院では、朝から日勤業務をこなし、日勤終了後から当直(宿直)業務を開始します。
当直は、ほとんど労働を伴わない業務が中心です。具体的には、電話対応や医薬品管理、臨時処方の調剤などが該当します。しかし、日勤帯で終わらなかった業務を引き継いだり、薬を病棟や外来まで届けたりしていました。
当直の実態は、病院の規模・薬剤師数・業務内容などによって異なり、必ずしも楽とは限らないのが現状です。
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